•  試作その5(決意編)

  •  複雑な形状にすれば金額に跳ね返る…これはある程度覚悟していた展開ですが、しかしやはり実際に見積もりを目の前にすると(とても公開できないその金額に)躊躇している自分がいるのも確かです。

     別にこれで一儲けしようと考えている訳ではないのですが(もとより数が売れるかどうかすら分かりません)、さりとてそのこだわりのために大損するのも遊びが過ぎます。もとよりそれほど金銭的な余裕はありません。
     せめて金型代をペイできるくらいには売れて欲しいという気持ちはありますが、果たしてここまでカネを掛けて本当に回収できるのか…。またブレていますね(笑)。

     一方で、金型を作ろうと思った時点で最初から数十万単位でカネが出ていくのは分かっていたはず、やるなら自身が納得行くまでやり切って、後悔はしたくないという強い気持ちがあります。どうせこんなことが出来るのは条件が揃った今回限りです。
     いらぬ装飾のためにこうなっている訳ではなく密着という機能を追求した結果がこれなら、BMWに使ってもらうにふさわしいと言えるでしょう。
     それにこれは密着に関してということのみではなく、全ての部分において、自分なりにではありますが 「こだわりきるとはこういうことだ」を具体的な形で残したい、やればできるという自信にしたい…オーバーかもしれませんがこれは自分が納得できるかという勝負そのものです。自身の弱さや迷いには絶対に負けたくありません。
     ここまで来たら前を向いて進むのみです!

     前向きに考えれば、複雑な形状に対して単純な加工を考えたからこそ、この金額(!)で済んでいるという見方もできるでしょう。本来ならもっと高くなってしまう機能を、安く実現できたという理解です。

     さて決意も新たに他の部分にも更に手を入れました。
     まず、どうしてもずんぐりむっくりがカッコ悪いと思えて仕方が無かったので、カバー両側の壁面を以前の薄さに戻しました。
     剛性を稼ぐ目的で壁を厚くする必要がないなら、手に取って安っぽく感じない前提で以前のカタチの方が全くスマートで好みだからです。
     しかも戻しただけにとどめず、もっと縦長イメージが欲しいということで更に長手方向に長くしました(延長は2度目ですね)。
     全体も細かく寸法を見直し、曲げが戻された時にフック中央から両端に向かって僅かずつ傾斜する形状としました。

    試作5 さて、一大決心と共にできてきた今回の試作品は、形状が複雑になったためかゴム屋さんが一部完全に寸法を読み間違えており、意図しない形となってしまいました(笑)。両端に向かって台形になるはずが、ほとんど四角くできています(画像右)。
     何事も一気に盛り込むのは良くないかもしれません。

     両端の形状が図面通りでなければ、正確な密着の評価はできません。およそうまくいきそうな雰囲気はあるのですが、最後のツメを怠っては全てを台無しにする可能性があります。ここまで来て絶対にそれは避けなければなりません。

     盛り上がった気持ちに水を差す結果となってしまいましたが、ここは心を鬼にして(笑)正確な形状を得るべく、基本的には同じ図面のままでもう1度試作を行なうことにしました。
     寸法を間違えるのは、図面側にも読みにくい等の問題はあるはずです。

     再度図面を見直し、これを最終としたい気持ちを込めて試作をお願いしました。


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