•  材質決定とメリット、デメリット

  •  具体的な構想に入った段階で、まずぶつかった問題は材質をどうするかでした。
    思い付くのはプラスチック系かゴム系か、という事です。
     個人を相手に対応してくれる金型屋さんというのは、ネットで調べても数社に限られましたが、プラスチックとゴムの両刀遣いという所は無く、やはりどちらかが得意という傾向がありました。

     ところで原点とも言えるトヨタ高級車のストライカーカバーはプラスチック製なのですが、ストライカー中央のフックをくぐらせるために、どうしてもハッキリとした切れ込みが見て取れます。
    トヨタ純正ストライカーカバー この構造は被せるためには必須なのですが、柔らかめのプラスチックを使っているとは言っても、切れ目を目立たせないほどの幅で済ませるという訳にはいかなかったという事でしょう。

     加えて、プラスチックは打ち出し単価は安く(ゴムの1/10程度)、色や表面の模様に関して自由度が高いものの、成形後に必ず収縮が生じ、形状によっては歪みが発生しやすいのでそもそも複雑なデザイン、造形は難しい事なども判りました。
     右上画像はトヨタのプラスチック製カバーの裏表ですが、表側には模様があるものの、固定のためのツメや補強用のリブ位置、極力単純なカタチになっているなど、セオリー通りの作りといえます。

     BMWのストライカーの形状から、中央部分の両側でしか固定が出来ないことが判っているので、歪みが出るとカバーの両端部が浮いてしまうことは容易に想像できます。
     それだと商品性が劣ってしまうため、作りが悪くては、こだわりを持つBMWオーナーに受け入れられるのは基本的に難しいだろうと考えました。

     それらを総合して判断すると、作ろうとする製品の方向性をある程度絞ることが出来ました。
    カバー原案
    ①材質はゴムで
    ②テープや接着剤を使わずきちんと車体にフィットさせる
    (両端が浮きにくい構造)
    ③意図的な造形、デザイン
    ④中央の切れ込みはほとんど目立たせない

    逆に妥協する点は以下です。

    ①プラスチックに比べ単価があがる
    ②色や模様に関してはほとんど自由度が無い(基本的に黒)
    ③ということは、バリエーション展開が基本的に難しい

    さらにそれらの妥協点が原因でデザイン上、対応を余儀なくされる部分に以下がありました。

    ①バリエーション展開が難しいとなると、材質的にデザインの自由度が高くても、冒険するのは無理。
    意図的なデザインとしつつも、奇をてらわない万人向けの造形とする必要がある。
    ②おとなしめとなってしまっても仕方がない。
    ③「好き嫌いがハッキリ分かれるデザイン」ではなく「嫌いな人が少ないデザイン」とせざるを得ない。
    違う言い方をすれば「まるで純正とされるようなデザイン」を狙うのが良い。

    …なにやら始まりから制約だらけですが、こんなんで本当に満足のいくものが作れるのでしょうか。

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