01757/01757 PXF00367 松澤 勇治 <NRレポ>7.最後に ・・・
( 7) 94/01/09 00:31 01750へのコメント
7.最後に ・・・
教師:皆さん、NRにずっと乗り続けられるといいですねぇ。そうだ、何年か後にまた同じメンバーで集まって、その時もう一度NRについて語るというのはどうですか? 皆さんお好きなようですから、不可能じゃないと思うんですが。(担当者の方に向かって)どうです? そういう事って出来ます?
担当者:まあ、皆さんの熱意次第ですね。要望が多ければ、十分考えますよ。
ワシ:(確か、どっかの雑誌でやってたゾ、題して『あの時、絶対一生乗る、手放さない、と言った人達のその後 ・・・』。統計とったら、80%ぐらいは乗ってなかったハズ ・・・。だ、大丈夫だろーか ・・・)
他のバイクの座談会は、普通どのくらいの時間行なわれているかは聞かなかったのですが、午後4時半までワイワイして、それでもまだみんなで惜しみつつ、お開きとなりました。
辺りはもう暗く、そのままではとても道路の向こう側にNRが5台も並んでいる事など気付かないのですが、それぞれオーナーが近寄りキーをひねると、みんなの表情を照らすようにイルミネートする灯火類 ・・・。やがて ・・・。
キュルル、 ・・・ボッ、ボワッ、 ・・・ドワッ!、グワッ!!
都会のノイズレベルを突き破るように咆哮を上げる、20個のオーバルピストンと160本(!)の吸排気バルブ ・ ・ ・。輸出仕様の大径エグゾーストエンドからは、ビルの谷間に反響する重低音を無造作に吐き出している。
ゆっくりと、身仕度を整えて、辺りを見回す。みんな顔を見合わせて、小さくうなずきあうこのシーンで、間違いなく、それぞれが1/5づつの存在感をお互いに認めあう瞬間 ・・・。
それは、不思議な安堵感と、少しの誇りと、そう何度も共有する事のない雰囲気に対しての惜別の念を、誰もが抱いたであろう瞬間なのです。 ・・・その時、その場所に、確かに自分がいると、それぞれの心にしっかり刻み込んで ・・・。
「それじゃ!」
「それでは ・・・」
1台づつ走り去るNR。開発責任者である山中チーフが、去っていくNR1台1台それぞれに、深々と頭を下げるのが、とても印象的でした。
そして、最後に自分が出る番になりました。
5台中唯一、停車時に照明系からほのかな減光状態の光を放っていた、最後のNRがわずかに動き出すと、まばゆいばかりの260Wに照らし出される、開発者、雑誌社の人々 ・・・。
「 ・・・どうも!」
「気を付けて!」
軽い会釈と同時にゆっくりとNRを発進させ、ハザードを一回出してから、さらにスロットルを開ける ・・・。
頭の中に、ふと忘れかけていた遠い想いがよみがえる。
「 ・ ・ ・あ、ハンドルカバー、どこで付けよっかな?」
ちゃんちゃん。
以上8/8