01314/01314 PXF00367 松澤 勇治 NRのロムデータ(超長文御免!)
( 7) 93/11/29 00:43
一般に、燃調/点火時期などがコンピュータを用いてセッティングされる場合、ロムの中にデータ列の並び、俗に「マップ」と呼ばれる領域などがあります。入力要素に、エンジン回転数、アクセル開度などを取って、その状況に最適と思われる(笑)燃料噴射量、進角度などを出力情報として持ちます。入力要素を係数として持ち、演算によって出力値を決定する方法もあります(特に補正はこの方式です)。
車などで「燃調の最適化」と言う場合は、主にこのマップの書き換えを意味しています。
NRのPGM−FIユニットは輸出用が5種類ありますから、国内仕様を含めて6種類のコンピュータが存在することになります。
従って、6種類のマップが存在する ・・・と、先日までは考えていました。
NRのエンジンには、主にインジェクション制御用と点火時期調整用の2つのロムがあります。さて、130馬力仕様でパワーチェックした後で、点火時期のみ国内用のセッティングにして、それでどのくらい馬力が出るか調べるつもりでいました。点火時期制御が本当に効いているのか、興味があったからです。
国内仕様とは50馬力以上違うハズですし吸排気もフル輸出用ですから、燃調の方を国内仕様でチェックするのはあまりに危険と思い、考えません。
それで、国内、輸出両ロムとも抜き取り、差し込みをソケット化して、さて交換準備OK、シャーシダイナモ上で、ちょいちょいとロムを差し換えりゃいいや、ということになったんですが ・・・。
とにかくまずはデータ取りということで、吸い上げたロムデータは冬の間にでもマップの状態をグラフ化して検討する、ぐらいに考えていたのですが、ロムデータを照合して見ると ・・・。
!? ・・・そんな、バカな!!こんなハズはない!
思わず口をついて叫びました。
NRは国内、輸出仕様共に、全くロムの中身は同じだったのです。
・・・全然信じられませんでした。手違いで、読み違えたかと思いました。でも、これは事実です。つまり、NRのロムは1種類しかない(ロムは1種類、の部分に注目)ということです(関係者じゃないんで断定はできません ・・・)。でも、仕向地ごとに6種類のユニットは存在するのです。
瞬間、いろんな思いが頭をよぎりました。もう、データが違うのは当然だと思い込んでいたからです。この時は、ほんとにパニクリ状態でした。
これでは、ロム交換用にソケット化した意味が全くありません。中身が同じロムなんですから。
・ ・ ・その時ふと、制御データとしては、NRの燃調/点火時期マップは異常に巨大なことに気が付きました。車レベルで考えると、ゆうに10倍は越えるような量です。始めは、「車とは制御のキメ細かさが違うんだ」「前バンク、後ろバンク別で、さらに、負荷状況で2種類のマップを使い分けてるってことだから、そこらへんの違いでしょ」などと勝手に納得していました。
でも、もし、もしですよ、仕向地ごとのマップを全部1個のロムの中に入れたらどうなります?量的にも納得できます。
だったら、基板のどこかに仕向地切り換え用の設定ポイントがあるのでは!?
・ ・ ・というワケで、うりゃ〜っと(←これ、得意ですね)PGM−FIユニットの充填剤を剥きまくると、はたして、ありました ・ ・ ・。
ジャンパーの設定が3ポイントありました。もし、ここだとすれば、2の3乗で、8種類の設定は出来ることになります。これなら、6つの仕向地別が存在する、という点でも矛盾はないです(あくまで想像)。
ところが、イグナイターユニットの方には、そういった設定ポストが認められないのです。ここが少し頭の痛い部分です。どういう事でしょうか ・・・。燃調ユニットと点火ユニット間は、それほど密接に接続されているようでもないので、切り換え信号が送られているのかどうかなどはわかりません ・・・。
製造上の関係だとは思うのですが、もともと200台前後しか作らないものなら、部品点数を減らそうという、そういう思想だったのでしょうか ・・・。
真実はホンダのみゾ、知る ・・・。
ホント、心臓によくない。
PXF00367/RC40(NR) 松澤 勇治(長野県飯田市)